この記事の情報は,ディーラーのスタッフにたくさんの質問をして得られたお答えと,下記の参考資料をもとに,独自にまとめたものです.この記事の内容には誤りが含まれる可能性がありますし,うまく動作しないかもしれませんが,一切の責任は負いませんのでご了承ください.とはいうものの,みーはこれらの知見に基づいて,ライズのディスプレイオーディオを比較的快適に使っているのも事実です.
2019年に発売された,ライズのディスプレイオーディオは,SDLやCarPlayを通じてスマートフォンの様々なアプリケーションを利用できるのが売りだったのですが,2021年3月31日に「TCスマホナビ」がサービス終了,2021年5月31日に「LINEカーナビ」がサービス終了と,主要なアプリケーションが相次いでなくなってしまいました.その後「moviLink」というカーナビアプリが新規に公開されたので,乗り換えなければならなくなりました.
初期のライズのディスプレイオーディオは,AndroidならばSDL,iOSならばCarPlayを使用しなければなりません.この記事では,Androidを使用して,2022年現在,なるべく快適にディスプレイオーディオでナビゲーションを使用する方法を紹介します.
環境
- 車: ライズ (生産年月:2019年11月~2021年03月 の初期モデル)
- Androidスマートフォン : Oppo Android 12
SDLが繋がらない
車のエンジンを始動させて,すぐにカーナビが使えればよいのですが,SDLでAndroidを接続するのはかなりコツが必要です.
- あらかじめ,AndroidとディスプレイオーディオをBluetoothでペアリングしておく.
- エンジンを始動させると,Bluetoothで接続される.
- Androidをディスプレイオーディオのデータ通信用のUSBポートで接続する.
- 音楽プレイヤーアプリを起動して,バックグラウンドで動作させておく.
- 音楽の再生先をBluetoothに設定しておく.
- TOYOTA SmartDeviceLink for HDを起動して,バックグラウンドで動作させておく.
- moviLinkを起動する.
これらの操作を完璧に行えば,30秒ほどでディスプレイオーディオにmoviLinkが表示されます.ここまで完璧でなくても自動で起動する場合もありますが,接続エラーの確率が上がります.また,いずれかの設定が間違っているとエラーになります.
自動化する
毎回車を運転する度にこんなにたくさんの操作を完璧に実行するのは不可能なので,MacroDroidを使って自動化します.
MacroDroidのインストール
Google Play Storeからインストールします.Androidはバックグラウンドのアプリの実行を勝手に停止するので,除外しておきます.設定 > アプリ > MacroDroid > アプリ情報 より,省エネでバックグラウンド実行を許可し,自動起動を有効にします.
この設定で,Androidを起動すると,MacroDroidが自動的に起動して,待受状態になります.
moviLinkを起動するマクロを作成
最終的に,以下のような"launch apps"と"close apps"の2個のマクロを作成します.無償版は保存できるマクロ数の上限が5つまでに制限されていますが,この制限内ですから,課金する必要はありません.
"launch apps" マクロは以下のように,Bluetoothでディスプレイオーディオに接続されたら,Poweramp (音楽プレイヤー), SDL,moviLinkを順番に起動して,完了を振動で伝えます.待機を1秒以上間に入れないとうまく動作しませんでした.
"close apps"マクロは以下のように,Bluetoothでディスプレイオーディオが切断されたら,ホーム画面を表示して,5秒後にバックグラウンド動作アプリを停止します.アプリを直接終了するには,ルート権限が必要なので,ホーム画面を表示させることで,起動している3個のアプリ全てをバックグラウンドにさせて,ルート権限がなくても同様の処理が実現できるように工夫しています.moviLinkは起動中はディスプレイを常に表示し続けるため,バックグラウンドにすることで,Androidのスリープが使えるようになります.
これらの設定をすれば,ライズのディスプレイオーディオとAndroidをUSBで接続したままにしておくだけで,ディスプレイオーディオの電源が入っているときのみ,必要なアプリが起動するようになります.
不便なこと
Androidの電源を落とすにはひと手間必要
iPhoneは電源オフの状態でUSB接続すると自動的にOSが起動しますが,Androidは充電を開始したというアニメーションが表示されるだけでOSが起動しません.車でカーナビ専用に使用するAndroidの場合,使い終わったら電源を落とさないと,次回乗車するまでにバッテリーがなくなってしまいます.電源を切る・入れるという操作はどうしても手動で行わなければなりません.これはAndroidの仕様です.
moviLinkを起動中にディスプレイが表示され続ける
これは仕様みたいです.ディスプレイが焼き付くのが嫌なのですが,どうしようもないので,壊れてもよい古いスマートフォンを生贄にする気持ちで使うしかないでしょう.
車の中でスマートフォンを使い続けるとすぐ壊れる
スマートフォンは本来車の環境は想定されていないと思われます.
周囲温度0℃~35℃、湿度35%~85%の範囲内でご使用ください。*1
iPhoneも同様です.
iOS デバイスや iPadOS デバイスは周囲の温度が 0° ~ 35℃ の場所でお使いください。 *2
車の中は50℃を超えることも多いですから,全く動作範囲外の環境と言えます*3.
実際,車の中専用でiPhone SEを使ったところ2年でバッテリーが壊れました.
メインで使っているスマートフォンや買ったばかりのiPhoneをカーナビ用に使用するのは避けたほうがよいでしょう.少し古くなったものを専用で車用にするのが次善策と言えます.
また,駐車した車内に放置して高温になると,リチウムイオン電池が燃える場合もあるので,車内に備え付けたまま放置するのは危険です*4.管理が面倒ですが持ち歩くなど工夫が必要です.
Bluetoothで音楽再生しながらカーナビを使う
moviLinkを起動する前に,何らかの音楽プレイヤーアプリを起動しておかないとBluetoothから再生できないようなので,上記のマクロに組み込んでいます.次の曲/前の曲だけはステアリングスイッチで簡単に操作できますが,アルバムを切り替えたりシャッフル再生したりなどはAndroidのアプリ画面から操作しなければなりません.
Apple CarPlayはアルバムジャケットが表示されてカッコいいです.対照的に,SDLのBluethooth再生画面は,曲のタイトルとアルバム名が文字で表示されるだけの簡素なデザインです.これも仕様みたいです.
ライズのディスプレイオーディオは交換できない
ディーラーに相談しましたが,ライズのディスプレイオーディオについて,社外ナビ含めて交換はできないそうです.うまく操作できないのでなんとかならないかとお願いしてみたところ,新車を勧められました.
ナビを快適にするだけのために車を買い換える気分にはなりませんでした.
まとめ
ライズのディスプレイオーディオは交換不可能で,スマートフォンはすぐに壊れるのを覚悟で運用しなければなりませんし,いくつかのコツも必要です.
厄介なことも多いですが,渋滞情報をもとに渋滞を勝手に回避する経路を提案してくれます.最新の地図でナビゲーションしてくれます.初めての道でもほとんど迷うことなく目的地に到着できるよう案内してくれます.昔のカーナビに比べると,機能・値段ともに良くなっているように思います.
参考
- 各種取扱説明書 https://manual.toyota.jp/raize/
- moviLink FAQ https://www.toyotaconnected.co.jp/movilink/faq/